今度こそ最終章でございます。
11月3日の月曜日。祝日。
この日は、初台WALLにてInfernal Revulsionとのツーマンのライブだった。
オープニングアクトにはVeiyadraに出演してもらった。
メンバーと14:30にライブハウスで待ち合わせだったので、
昼ごろに起床して13時過ぎに家を出た。
俺と伊藤は14:30ぴったりに到着。
カズはちょっと遅れて14:50くらいになるとメールで連絡が入った。
そしてJacobからは着信が入った。嫌な予感。
ジェイコブ「ショウゴ、今俺はなんの電車に乗っているのかもよくわからない。
初台までの行き方を教えてくれ」
俺「は?なんでまだ電車のってんの?」
ジェイコブ「電車をまた間違えたんだ。新宿まであと5駅くらいある」
新宿駅から京王新線に乗り換えて初台までくる方法を電話越しにジェイコブに説明するのは無理だ。
だってすでにジェイコブはパニック状態だから。
まず連絡が遅すぎることと、遅刻していることに叱りたくなったが、今そんな話をしてる場合じゃない。
最少の単語数で、最も簡単な方法で、最短の時間でジェイコブがライブハウスに来れるように指示をしないといけない。
俺「リハはボーカル抜きでやるから、新宿に付いたらどこの出口でも良いから外に出てタクシーにのって今から送る住所を運転手に見せなさい。」
ジェイコブ「わかった、ごめんなさい。」
そしてそのままライブハウスに入って、着々とリハーサルの準備を開始。
各メンバーの準備が整ったところで、最後にジェイコブから着信が入ってないかケータイを確認するために地上階へ出た。
そしたらちょうどそこにジェイコブとZethが乗ったタクシーがブーンっと到着。
完璧すぎるタイミング。
そして無事全員揃ったところでリハをやる。
リハが終わるやいなや、伊藤は別バンドのライブを昼間にやる予定があって、
そそくさとベースを担いで出て行った。
その間残された俺らは腹ごしらえに松屋へ行った。
ジェイコブ「一応言っておくけど、俺今日風邪っぽい。喉が痛い。」
カズ「俺も風邪っぽい」
俺「そういえば俺も今朝、喉痛かった。」
一昨日書き忘れたけど、伊藤はMV撮影の日から風邪で鼻水ジュルジュル野郎だった。そういえば。
全メンバー風邪。
でもまぁ元気そうだから平気かと思った。
松屋で昼を食ったあとは、念のため風邪薬を買いに近くのセブンイレブンに入った。
入口入ったらすぐのところに、ガンダムのプラモデルが置いてあって、JacobとZethはそれに凄い食いつき。
ひたすらガンダムの商品のから立ち去ろうとはせず、語り続ける二人を置いて、その他メンバーは各自欲しいものを探す。
結局Jacobはのどあめを買っていた。
そして、Zethは、そのガンダムのプラモデルを2つも買っていた。
そんなZethをみんなで笑っていると、
セブンイレブンのキャンペーンでくじ引きをさせられる流れに。
なんたって1万円分以上の買い物をしてるからくじを引く回数も27回とかで、永遠と続いた。
その結果飲み物ペットボトル7本くらいと、ウィダーインゼリー的なの2つと、
ユンケル的なのが当選してその場で貰ってた。ユンケルは一番風邪っぽかったカズが貰った。
既にZeth以外会計を済ませていたのに、全員分以上の飲み物が当たってしまった。
そんなことがあって全員ご機嫌モードでライブハウスへ戻って、間もなく開場。
この日は結構身内の仲間がたくさん駆けつけてくれた。
普段メタルとか聴かないであろう友達も来てくれてうれしかった。
そして、そういう人たちにとってはこのイベントでメタルの印象がおもいっきり左右するという状況を考えて一人緊張。
良い物を見せないと。
この日オープニングアクトとして出演してくれたのは、Veiyadra。
ネットで発見したバンドで凄くブルータルでかっこよかったのでお誘いしたら、
すんなりOKしてもらえて、この日当日全員初対面という感じ。
ライブもかっこよくて、Jacobも凄く気に行っていた。
続いて、Infernal Revulsionの出番。
安定のタイトさとブルータルなパフォーマンス。
昔の曲も結構やってくれて、おもいっきり楽しませてもらった。
自分たちの出番がすぐ控えているので途中から抜けてバックステージに行ってウォーミングアップをしなければいけないのだけど、
次々と好きな曲を連発してくるので結局出番超ギリギリまでバックステージに行けなかった。
バックステージに移動したらカズと二人で全曲分のテンポ感覚を確認。
昨日もライブやったばっかりだからちょっと慣れてきた感があって、今日は良いライブができそうだと思った。
そしていよいよ自分たちの出番がやってきた。
ライブは中盤までスムーズに進んだ。
お客さんも暖かくて、良い感じに盛り上がってくれてた。
俺らにとっての初めての1時間のセットリスト。
セットリストは色々考えて作ったんだけど、1点だけどうにもできなかったのは、
チューニングを変更する箇所が5回くらいあるということ。
そのタイミングを忘れないように注意ながらライブを進めないといけない。
そして、そのチューニングに気を取られすぎて問題が起きた。
何曲目だったか、チューニングをDropCに変えて、NaniteSwarmという曲を開始。
でも、なんだか伊藤と俺が不協和音を鳴らしてるように聞こえた。
イントロをすぎてもまだ違和感があった俺はギターを弾きながら伊藤のところまで歩いて行って
伊藤に聞こえるように「チューニングあってる!?」って叫んだ。
伊藤は一瞬「へ?」みたいな顔をしつつも、頭を縦に振った。
気のせいかと思って定位置に戻る俺。
いや、やっぱり音がおかしい。絶対不協和音だ!
そう思った俺はCメロあたりでまた伊藤のところに歩いていって、
「チューニングした!?」って叫んだ。
伊藤はまた一瞬「へ?」という顔をしつつも、激しく頭を縦に振った。
なんだこれは?ヘドバンしてるだけなのか?と思いながら俺は定位置に戻った。
そしてその瞬間俺はパニック状態に陥った。
あれ、今どこ弾いてるんだっけ!?このリフ弾くの何回目だ!?次はブレイクするとこだよな!?
わっかんね!とりあえずドラムの出だしを聞いて把握しよう。
と思ってギターを止めた瞬間…
ドラムもベースもピタっと止まった…
完全に曲がストップ。
そのときは何が原因で全員止まったのか全然解らなかった。
あまりの不意打ちなストップ、しかも綺麗にピタッと止まりすぎて、
MCで正直に「間違えました!てへぺろ」って言うべきなのか、
それとも、もうそういう曲だと誤魔化したほうがいいのかの判断ができなかった。
メンバー全員がお互いの顔を見合す中、
ジェイコブは一人小声で
「next song next song next song next song」と連呼している。
俺はカズに次の曲の合図を送ってライブを再開した。
後日、この日録画してたDVDを確認したら、
俺が直前のフレーズを必要の2倍の回数弾いてたのが原因での失敗だった。
この曲を楽しみにしてた方々、ごめんなさい!!!!来年リベンジします。
ライブ中に曲が止まるのって、他のバンドではみたことがあったけど、
自分たちにとっては初めての経験だった。
こういう時に気のきいたMCができるように備えておくのも大事だなと思った。
最初から止まるのが悪いんだけどね。
話は戻って、フロアは一回冷めちゃったかもしれないけど、
そのことを必死に意識から消して、ライブを続ける俺ら。
終盤のEntheogenでは、お客さんが半端じゃないモッシュを見せてくれた。
最後はステージ上に何人も上がってきて最高だった。ホントにありがとう!
自分たちが鳴らした音でこれだけの人の身体が動くのは
本当に気持いいし癒されるし、これがユーフォリアだなと思う。
そうやって開場も熱くなって俺らもホクホクしているところで第2のトラブル。
ジェイコブの声が、明らかにおかしい。カズはそれに気づいたらしい。
でもステージ上の俺の立ち位置からはボーカルなんてほぼ聞こえないから、
俺は言われるまで気づかなかった。
セットリスト最後の曲を終えて、バックステージに行くと、
ジェイコブがカラカラの声で必死に訴えてきた。
「風邪の所為で声が突然でなくなった!これはやばい!おわった!」
しかし、そんな中フロアからは
「デス!アイ!アム! デス!アイ!アム!」とアンコールのコールが聞こえ始める。
「アンコールは無理だ、全く声がでないんだから!まずいって!」
そう言いながら大量にのど飴を口にの中に詰め込むジェイコブ。もう必死。
大量に口に入れてもそんなに効果変わらないでしょ。
カズは「お客さん待ってるから早く行こうよ」って言ってる。
ジェイコブ「NO!!!THIS IS FUCKED UP!!」
そんなやりとりが数十秒続いて、もう流石に表に出ないとまずいと思った俺は
「じゃあお客さんにマイクを振ってジェイコブはフロアでモッシュしてくれ」って言って、
そのままステージに走ってでていった。
そんな状況でステージにメンバーが集まり、最後にやったのはMoira。
ボーカルはカメラをもって撮影してたトモがほとんど歌ってくれた。ありがとう、助かった!笑
この日はそれ以外にも色んな人がステージに上がって歌ってくれた。
Jacob半分くらいしか歌ってないんじゃないかってくらい。
それだけ多くの人が俺らの曲を正確に覚えてくれていることに感動した。
そしてなんとかMoiraをやりとげ、歓声の中バックステージにメンバー全員が戻った。
そしたらジェイコブは、既に激おこぷんぷんまるの更に上の上のレベルのあのなんとかインフェルノってやつの状態。
楽屋に戻るやいなや壁をおもいっきり数発殴り、何かを蹴飛ばし、外へ出て行き、そこにあった椅子を蹴飛ばして破壊し、
道にパイロンもぶち壊した。制御不能モードのジェイコブ。
急いで追いかけてジェイコブを落ち着かせる。
毎回言うけど、俺は怒っているジェイコブを落ち着かせることが得意だ。
WALLのスタッフさんも出てきて心配する中、
1分後にはジェイコブをある程度冷静にさせて
「モシワケアリマセンデシタ…」と言わせることができた。
ジェイコブは自分の声がでなかった所為でお客さんを満足させられなかったのではないかと考えて
自分を酷く攻めていた。
NaniteSwarmで曲が止まったことはどうでもよくて、100%自分の喉に対する怒りだと言っていた。
俺も正直こんなにトラブルが重なるライブが初めてだったので、
自分の中での処理に困って、ジェイコブを落ち着かせた後、階段で座り込んでしまった。
いつもならすぐにフロアにでていって、見に来てくれた人達に挨拶に回るところなんだけど。
俯いたまま勝手に一人脳内で反省会を始めていたら、
お客さんがわざわざ楽屋のほうまで入ってきてくれて、
「よかったよ!楽しかった!」って言いにきてくれた。
しかも、かなり色んな人たちが来てくれた。そのおかげで元気を取り戻して、
よし、フロアに行こう!って立ち直れた。みんなありがとう。
Jacobはそのあと羽田空港にZethを送っていかないといけないという使命があったため、
すぐにWALLを出発していって、みんなとあまり話せなかったけど、
あとで全然フロアに戻る時間がなくて申し訳なかったと言っていた。
そんな感じで第9回ツアーの最後のライブを終えました。
初めてのWALLで、初めてのロングセット。
こんなトラブルがたくさんあるライブっていうのも、凄く生な感じがして良いじゃん。
俺はこの日のことをそう考えるようにした。
だって、もし自分がファンだったら、
寧ろそういうトラブルがあるライブの方がテンションあがる。
その日しか見れないミス。1度しか見ることができないアクシデント。
それも、ライブもよさの一つだよね。
そんなこと、自分で言うんじゃなくてお客さんに言ってもらわないとダサいけど。
でも、そういうこと!
— Special Thanks —
ライブハウス:初台WALL松本さん
物販:理奈、ハヅキちゃん
撮影:Ytaro、もっさん、トモ、金子くん
さて。
ライブを終えた僕たちはこれからどうするのか。
それはまた後日書いて行こうと思います。
今回撮影したMVも含めて、色々企んでおりますので楽しみにしててください。